「SNS、やらなきゃダメ?」
大丈夫。必須ではありません。
ただし、“あなたのお客さま”と“お店の目的”にハマるなら強い味方になります。
ここでは、がんばりすぎず、数字でサクッと判断できるやり方を、やさしく、寄り添うトーンでまとめました。
この記事で得られること
- 「うちは SNS をやるべき/やらなくて OK」を今日決められる
- “いいね”の数で迷子にならず、売上に関係ある数字だけ見られる
- 6週間の“お試し運用”で、続ける/一旦やめるを気持ちよく判断できる
用語はできるだけかみ砕いて説明します。途中でつまずいたら、付録の用語ミニ辞典をのぞいてください。
どうして「SNS は必須」と言い切れないの?
「周りがやってるし」「やらないと不安」…わかります。ただ、SNS は集客の道具のひとつ。
お店に本当に必要なのは、新しいお客さまを連れてきて→買ってもらって→また来てもらう流れです。これは、検索(SEO)や比較・レビュー記事、口コミ、メール/LINE だけでも作れます。
たとえば、こんな“やらなくても伸びた”例
- ニッチな工具:検索意図がハッキリ。比較記事+動画だけで売上が伸びた
- オフィス家具(B2B 寄り):展示会・紹介・見積り中心。SNS は採用広報だけ
- 地域×実店舗連動:Google マップの口コミ強化で常連化
つまり、スタートは「どの SNS をやるか」ではなく、
「うちのお客さまはどこで情報を集めて、どう決めて、どこで買うか」の確認からです。
“ネットショップのための効果”って何を見るの?(やさしい KPI)
SNS の効果を“いいね・フォロワー”で判断すると、だいたい迷子になります。
「買う」に近い数字にしぼると、スッと楽になります。
- 初回購入数(初めて買ってくれた人数)
→ 新規が増えてる?の中心指標。 - 初回 CPA(1人の新規購入にいくらかかったか)
→ 広告費+制作費 ÷ 初回購入数。
まずは“初回の粗利の範囲内”に入るかを目安に。 - ATC 率(Add to Cart:カート投入率)
→ 商品ページに来た人のどれくらいがカートに入れたか。欲しさのサイン。 - Checkout 開始率
→ カートに入れた人のどれくらいが決済に進んだか。決心度のサイン。 - ペイバック期間
→ 初回で赤字なら、何回目の購入で回収できる?の見積もり。 - MER(売上÷広告費1)
→ 全体の健康度。これが上がれば“体温”が上がってる感じ。 - LINE/メール登録→7日内購入率
→ SNS から育成(フォローアップ)できてるかの早見。
目的別の“主役の数字”
- 今すぐ買ってほしい:ATC 率/初回 CPA
- まずは育てたい:LINE 登録数/登録後7日・30日の購入率(+指名検索の増加)
どの SNS から始める?——“お客さまの買い方”に合わせて2つだけ
「全部やる」は疲れちゃいます。まずは多くても2つにしぼりましょう。
- Instagram:20–40代/見た目・暮らしのイメージが大事な商材
→ 「発見→保存→後日購入」タイプ。美容・ファッション・雑貨・食品の世界観づくりに◎ - TikTok:10–30代/体験・勢い・手頃な価格
→ 短尺動画で「ほしい!」を作って即購入。ライブコマースも強い。 - YouTube:30–60代/比較・使い方・物語が効く/中~高単価
→ 検索資産になって積み上がる。検討のモヤモヤをほどくのが得意。 - X(旧 Twitter):新着・限定・抽選・速報系
→ 拡散の起点。トレンド好き・情報通に刺さる。 - LINE公式:再購入の母艦
→ クーポン、再入荷、購入後ケア。SNSで出会った人を“常連”にする担当。 - Facebook:50代~/コミュニティ・地域密着・実店舗連動
- Pinterest:結婚・引越し・DIYなど“計画探し”
→ コレクション作りが好きな人に強い。後日購入につながりやすい。
迷ったらこの組み合わせ
- 見た目重視×女性多め → Instagram + LINE
- 体験重視×手頃価格 → TikTok + LINE
- 高単価×比較される → YouTube + LINE
まずは“6週間だけ”お試し。続けるかは数字で決める
長く続ければ勝てる…とは限りません。ダラダラしない仕組みを先に用意しましょう。
おすすめは6週間スプリント(ミニ合宿みたいなもの)。
6週間の進め方
週0(準備)
- 目的を1つに絞る(新規購入 or LINE 登録 など)
- UTM(どこ経由かの目印)と専用LP(着地ページ)を用意
- 目安KPIを決める(例:ATC 3%以上/LINE→7日内購入率1.5% など)
週1–5(運用)
- 1つのテーマを“3パターン”で作る(フック・尺・構図を変える)
- 数字が弱いものは早めに捨てて、勝ちパターンを育てる
週6(ジャッジ)
- 事前に決めた基準で機械的に「継続/一旦お休み」を判断
ジャッジの“やさしい目安”
- 継続(どれか満たす)
- 週300セッション以上 & ATC 3%以上
- 初回 CPA が初回粗利の範囲に入りそう
- LINE登録→7日内購入率 1.5%以上 or 指名検索(店名検索)が増えている
- 一旦お休み(どれか満たす)
- 6週間やってATC 1.5%未満で足踏み
- 初回 CPA > 粗利が続く
- 指名検索や直参流入、再購入率に変化なし
メモ:“お休み”は撤退ではありません。 企画や見せ方を変えて再チャレンジすればOK。
迷ったらどうする?——“やさしい意思決定チャート”
[お客さま像は描けた?] → いいえ:まず“誰が・どこで・どう決める”を紙1枚に
| はい
↓
[その人たちはSNSで情報を拾う?] → いいえ:SNSは“後回し候補”
| はい
↓
[相性のいいSNSはどれ?] → Instagram / TikTok / YouTube / X / Pinterest
↓
[目的は1つに] → 新規購入 or LINE登録 など
↓
[6週間お試し] → UTM・専用LP・目安KPIを用意
↓
[数字で判定] → 継続 or 一旦お休み
作り続けるコツは“型”に頼ること(柱 × 形式 × CTA)
3つの柱(テーマ)
- ベネフィット:生活がどう良くなる?
- 証拠:お客さまの声、ビフォーアフター、第三者のレビュー
- 物語:作り手の想い、原料や現場のこだわり
形式(フォーマット)
- 短尺動画(15–30秒:TikTok/リール)
- 画像カルーセル(3–5枚でミニ物語)
- 長尺/ライブ(YouTube・ライブコマース)
- 比較・FAQ(YouTube/ブログとの連動)
CTA(行動の促し)は2本立て
- 今すぐ買う:商品ページへ
- 育てる:LINE 登録(限定クーポン・再入荷通知・購入後の特典)
運用ルールはカンタンでOK
「1テーマ × 3パターン」。勝った1本を翌週に“継承”。負けはすぐ捨てる。
計測のミニセット(ここだけ押さえれば十分)
- UTM をつける
?utm_source=instagram&utm_medium=social&utm_campaign=2025wk01_benefit_reel
(※“どの投稿から来たか”をあとで見分けるためのラベル) - 専用 LP で受ける
Instagram 用/TikTok 用…と入口を分けるだけでも OK。 - 毎週見るのは4つだけ
- セッション数(そもそも来てる?)
- ATC 率(欲しいって思ってくれた?)
- 初回購入数・初回 CPA(お金のバランスは?)
- LINE 登録→7日内購入率(育成は効いてる?)
“いいね・再生数・保存数”はヒントにはなりますが、合否の主役ではありません。
合否は ATC 率/初回 CPA/LINE → 購入率 で。
ちょっとだけ数字のイメージ(ミニ事例)
- 6週間の Instagram から2,100セッション
- ATC 率 3.5% → 73人がカートへ
- Checkout 開始 60% → 44人が決済へ
- 購入完了 70% → 31人が購入
- 制作+広告で93,000円かかった → 初回CPA = 3,000円(=93,000÷31)
平均粗利が3,200円なら合格◎(初回で黒字~トントン)。
2,000円なら保留(LINE でシナリオ配信→2回目の購入で回収を狙える?)
→ こんな感じでペイバック(回収までの回数)も一緒に見ます。
正直、SNS を“後回し”でいいケースもあります
- 検索ニーズが強い(「型番 比較」「症状 原因 対策」など)
→ 記事・比較表・FAQ・レビューの整備が先に効く - 高単価・説明が必要・法人寄り
→ 展示会・紹介・資料請求の導線が主戦場 - 制作リソースが少ないけどメール/LINEの基盤はある
→ SNS は“勝ち筋が見えた時だけ”スポットで
よくある“つまづき”と、肩の力を抜くコツ
誤解① フォロワーが増えれば売上も増える
→ 増える“こともある”けど、直接の保証ではない。
見るのはATC率・初回CPA・LINE→購入率。
誤解② 毎日投稿しないとアルゴリズムに嫌われる
→ 質の低い連投は逆効果。
週1テーマ×3パターンで“勝ち”を磨くほうが気持ちよく伸びます。
誤解③ SNS だけで売れる
→ 売上の最短路は LP の訴求・導線・決済体験。SNS は入口担当。
LINE /メールは“育成担当”、LP は“決着担当”。分業で考えるとラク。
誤解④ UGC(お客さま投稿)は自然に増える
→ 多くの場合、お願い・仕組みが必要。
購入後メールでハッシュタグ案内/投稿特典/レビュー依頼を“自動化”しましょう。
そのまま使える“週次テンプレ”
✅ 週イチ確認リスト
- 目的は1つ(新規購入 or LINE 登録)
- 1テーマ×3パターンで投稿した
- URLにUTMつけた/専用LPで受けた
- ATC・初回CPA・LINE→7日購入率を記録した
- 勝ち1本を決め、翌週の改善1点をメモした
🧪 実験ログ(サンプル)
| 週 | テーマ | 変奏 | セッション | ATC | 初回購入 | 初回CPA | LINE→7日購入 | 気づき |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | ベネフィット | A | 380 | 2.1% | 3 | ¥5,200 | 0.8% | 冒頭の一言が弱い |
| 1 | ベネフィット | B | 410 | 3.4% | 6 | ¥3,100 | 1.6% | “悩み直撃”の言い回しが効く |
| 1 | ベネフィット | C | 320 | 1.7% | 2 | ¥8,400 | 0.4% | 構図が単調 |
→ Bが勝ち。翌週はBをベースに最初の1秒をさらに磨く。
クリエイティブ作りのカンタン技(まずは“最初の1秒”)
- 悩み直撃:「朝のメイク、崩れてません?」
- ベネフィット先出し:「通勤後もテカらない肌へ」
- 証拠でドン:「レビュー★4.6、リピート率32%の理由」
- 物語の入口:「皮膚科医の妻の“本音”から生まれました」
- 比較一撃:「他社と何が違う?水の量、比べました」
テロップ1行+わかる1カット。
これだけで ATC 率がグッと上がること、よくあります。
ちょっと広告も使う?(余裕があればでOK)
- 勝ちパターンだけ、1日2,000~5,000円で配信
- 目的は“バズ”じゃなく検証。初回 CPA と ATC 率が良くなるかチェック
- MER(売上÷広告費)が上向いたら、すこしずつ増やす
数字がイマイチのときの“やさしい切り分け表”
| 症状 | ありがちな原因 | まずやること |
|---|---|---|
| 来訪が少ない | 露出不足/導入の一言が弱い | 冒頭1秒の言い換え/少額広告で後押し |
| ATCが低い | 価値が伝わらない/価格や保証が不安 | ベネフィット→証拠→保証の順に再構成/返品可・到着日を早めに表示 |
| Checkout 開始が低い | ボタンが遠い/送料不明 | 「今すぐ購入」を上部に/送料・到着日を目立つ位置へ |
| 初回 CPA が高い | なんとなく配信/勝ちが不明瞭 | 3パターン比較→勝ち1本に集中 |
| LINE →購入が低い | 登録後の体験が弱い | 7日で3通:ベネフィット/使い方/レビュー・UGC 誘導 |
まとめ:今日からの“3ステップ”
- お客さまの買い方を1枚に
誰が・どこで知って・何で迷って・どう決めて・いくらで買う? - SNS は2つまで + 目的は1つ
(例)Instagram+LINE/YouTube + LINE など - 6週間お試し
1テーマ×3パターン→UTM と専用 LP→数字で判定
言い切りフレーズ
- SNS は“合うときだけ”必須。
- いいねは通過点。見るのは ATC・初回 CPA・ペイバック。
- やめる基準を先に決めると、続ける理由もハッキリする。
付録A:やさしい KPI メモ(コピペ OK)
- 目的:〔新規購入/LINE 登録〕
- 6週間の目安:
- セッション:週300以上
- ATC 率:3%以上
- 初回 CPA:初回粗利の範囲
- LINE→7日内購入率:1.5%以上
- 判定:2指標以上クリア→継続/未達→一旦お休み(別企画で再挑戦)
付録B:投稿ネタのタネ(はじめやすい20案)
- 「買った人が一番驚いたポイント」
- 「お客さまの声ベスト3」
- 「開発の失敗談(そこから生まれた工夫)」
- 「5秒でわかるビフォーアフター」
- 「競合3社と比べて違う点」
- 「最初の1週間のおすすめの使い方」
- 「あるある悩みをたった1つ解決」
- 「スタッフの推し活(愛用品紹介)」
- 「現場の音(作業風景・手元)」
- 「レビューに正直に答える」
- 「返品・交換の流れ(不安を消す)」
- 「在庫わずか/再入荷予定お知らせ」
- 「クーポンの上手な使い方」
- 「ギフトで喜ばれた実例」
- 「季節の悩みに今効く使い方」
- 「○○を選ぶ3つの基準」
- 「よくある誤解ベスト3」
- 「カスタマーサポートの舞台裏」
- 「○○の日限定セット」
- 「作り手の手を映す15秒」
付録C:用語ミニ辞典
- UTM:どの投稿から来たかをURLにメモする仕組み(あとで見分けられる)
- LP(ランディングページ):最初に着地するページ(商品ページでもOK)
- ATC率:カートに入れた割合。“欲しい”の度合い
- CPA:1人の新規購入にいくらかかったか
- MER:売上÷広告費。全体の効率の体温計
最後に。
SNS は、あなたの物語とお客さまの暮らしをつなぐ橋です。
でも、渡るかどうかはあなたが決めて大丈夫。
数字というコンパスを持って、まずは6週間、一緒に軽く走ってみましょう。
次回(第2回)の予告
「顧客から始める:ペルソナ×購買行動×ジョブ」
紙1枚のテンプレで、“誰に、どこで、どう買ってもらうか”を一緒に整理します。
「書き方の見本」も用意するので、空欄を埋めるだけでOKです。
注釈
- ここでは、広告費と表示していますが、SNSの投稿等にかかった時間の人件費もしっかりと計算すべきです。 ↩︎
📚 「SNSは必須か?」を数字で答える——ネットショップのための“選択と集中”フレームワークシリーズ一覧(全12回:基本編10+応用編2)
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