今日のゴール
- 「どの投稿がどれだけ売上に効いたか」を、迷わず見られるようにする
- UTM(リンクの名札)、GA4(見える化の本丸)、LINE×EC(育成の成果)の最小セットを導入
- 第1〜4回で決めたKPI(ATC率/初回 CPA/LINE→7日内購入率/MER)を週次でチェックできる状態にする
肩の力を抜いて、“難しい設定は最小限”でいきます。専門用語はかならずやさしい説明を付けます。途中でつまずいたら、付録の用語ミニ辞典へどうぞ。
なぜ計測が大事?(30秒で)
- SNS は入口、LP が決着、LINE が育成。
- 入口→決着→育成のどこで詰まっているかを見ないと、やみくも投稿になります。
- UTM で「どこから来たか」を分け、GA4 で「来た人が何をしたか」を見て、LINE で「育成→購入」を確かめる。
→ やる/やめるを数字で言い切れます。
今日使う“やさしい用語集”
- UTM:URL のお尻に付ける名札。どの投稿から来たかが後で分かる。
例)?utm_source=instagram&utm_medium=social&utm_campaign=2025wk06_benefit_hookA - GA4:Google のアクセス解析。誰がどこから来て、何をしたかを見る。
- イベント:サイトで起きた出来事。
view_item(商品を見た)add_to_cart(カート投入)begin_checkout(決済へ)purchase(購入)など。 - KPI:最重要指標。第1回で決めたATC率/初回 CPA/LINE →7日内購入率/MER を主役に。
- MER:売上÷広告費。全体効率の体温計。
計測は“最小構成”で十分(全体像)
- リンクに UTM を付ける(SNS→LP)
- GA4 で4イベントを見る(
view_item→add_to_cart→begin_checkout→purchase) - LINE 登録の流れを GA4 or 売上台帳でつなげ、7日内購入率を出す
- 週次ダッシュボードで KPI だけ確認 → 6週間スプリントの合否へ
プラットフォーム(Shopify/BASE/カラーミー など)ごとの細かいボタン名は違っても、考え方は同じです。
UTM:迷わない命名ルール(コピペ OK)
使うパラメータは基本3つ+おまけ2つ
utm_source:どの媒体?例:instagramtiktokyoutubexpinterestlineutm_medium:どの手段?例:socialvideoliveaddm(LINE ならdmやmessageで OK)utm_campaign:週やテーマ。例:2025wk06_benefit- (おまけ)
utm_content:変奏。例:hookAhookBcarousel - (おまけ)
utm_term:広告のキーワードや細かな分類に
**命名は“固定の型”**にするのがコツ。あとから集計しやすくなります。
命名テンプレ(第4回の「週1×3変奏」にドンピシャ)
utm_source={instagram|tiktok|youtube|x|pinterest|line}
&utm_medium={social|video|live|dm|ad}
&utm_campaign=2025wk{週番号}_{pillar(benefit|proof|story)}
&utm_content={hookA|hookB|hookC|carousel}
具体例(そのまま使える)
- Instagram リール(ベネフィット柱・フックA・第6週)
...?utm_source=instagram&utm_medium=social&utm_campaign=2025wk06_benefit&utm_content=hookA
- YouTube 長尺(証拠柱・比較テスト・第6週)
...?utm_source=youtube&utm_medium=video&utm_campaign=2025wk06_proof&utm_content=compare_test
- LINE 配信(育成ステップ2/使い方)
...?utm_source=line&utm_medium=dm&utm_campaign=2025wk06_onboarding&utm_content=howto_day2
よくある落とし穴
- 大文字・表記ゆれ:
Instagramとinstagramは別物に集計されます。小文字固定に。 - URL 短縮で UTM が消える:短縮ツールの設定でパラメータ保持を ON に。
- Instagram の“リンク1つ問題”:リンクまとめページを使う(集計用に各リンクへ UTM をセット)。
- QR コード:オフライン配布も UTM 付き URL から作ると比較がラク。
専用 LP(着地ページ)を分けると、さらにハッキリ見える
- 例)
/lp/ig//lp/tiktok//lp/youtube/… と入口を分ける - 同じ内容でも OK。URLが違えばチャネル別の動きがクリアになります。
- どうしてもページを増やせない場合は、UTM 必須で運用。
LP で最優先:到着日/送料/返品を上部で目立たせる。ATC 率が素直に上がります(第4回参照)。
GA4:見るのは“4イベント+α”だけ
4つの主役イベント
view_item:商品ページに到達add_to_cart:カート投入(ATC 率の分母分子)begin_checkout:決済へ進んだpurchase:購入完了(初回購入数・初回 CPA)
ATC 率=
add_to_cart ÷ view_item。
初回 CPA=(制作費+広告費)÷ 初回購入数(SNS 由来)。
MER=売上÷広告費(SNS 広告分を含めた全体が見やすい)。
あると嬉しい“育成”イベント
generate_lead(フォーム送信/LINE 登録の代理)- LINE 登録完了を正確に取れない場合は、LINE 登録後のウェルカム導線で専用LPへ誘導し、そこを
generate_lead扱いにします(後述)。
- LINE 登録完了を正確に取れない場合は、LINE 登録後のウェルカム導線で専用LPへ誘導し、そこを
パラメータ(細かすぎない範囲で OK)
item_iditem_namepricecurrencyvalue(購入金額)transaction_id(注文番号)- クーポン施策が多いなら
couponも
多くの EC プラットフォームはアプリ/プラグインで
purchaseまで自動送信できます。まずは既存機能を活用して、4イベントが見える状態を目標にしましょう。
「LINE 登録→7日内購入率」を測る、現実的なやり方
LINE は他ドメインになることが多く、ピタッと計測が難しいのが本音。ここは“現実解”でOKです。
もっともカンタンな方法(おすすめ)
- LINE 登録直後の自動あいさつに、専用LPのリンクを置く
- 例:
/lp/line_welcome/(UTM:utm_source=line&utm_medium=dm&utm_campaign=welcome_day0)
- 例:
- そのLPで
generate_lead(登録完了の代理)イベントを送る- 仕組み:LP の読み込み時に発火(詳細は後述のGTMでOK)
- その後の7日間の購入を、GA4 の比較(期間フィルタ)で集計
- もしくはクーポンコードを「
LINE7D」のように分け、受注 CSV で購入件数を数える
- もしくはクーポンコードを「
これで「LINE登録後7日内の購入率」が出せます。完璧さよりも、毎週同じ条件で比較できることが大事。
もう一歩(余力があれば)
- 登録完了 URLにコンバージョンタグを置く(管理画面で設定できる場合)
- LIFF(LINE上のWeb)や外部連携は中上級向け。まずは“専用LP+UTM+期間集計”で十分です。
GA4(または GTM)での“最小セット”設定手順(超ざっくり)
既にプラットフォームのアプリで送れている方はこの章は飛ばして OK。未設定なら、ここだけ押さえれば十分です。
GA4 の基本を置く
- サイトに GA4タグ を入れる(
gtag.jsもしくは GTM 経由) - 動作確認:リアルタイムに自分のアクセスが見えるか
view_item と add_to_cart を取る
- 多くの EC テーマは自動で
view_itemを送信します(商品テンプレに入っていることが多い) add_to_cartは- ボタン押下をトリガーにして送る(GTM で“クリック要素”)
- 既存のテーマが送っていれば無理に二重送信しない(重複注意)
begin_checkout と purchase
- カート画面→決済開始で
begin_checkout - 注文完了ページ(サンクスページ)で
purchase(valueとtransaction_idを含める) - テスト注文で重複送信しないか確認(2件に増えていたら要修正)
注意:自社ドメイン外(決済代行)に遷移する場合、参照元が“自社”で上書きされることがあります。
GA4 の「参照除外設定」に決済ドメインを入れておくと、自己参照が減ります。プラットフォームのヘルプを確認して、一度だけ対応しておけば OK。
週次ダッシュボード:KPI だけの見取り図
まずはGA4 の標準レポートとスプレッドシートで十分です。余裕が出たら Looker Studio へ。
週次で見る項目(最低限)
- セッション(SNS 由来)
- ATC 率(
add_to_cart ÷ view_item) - 初回購入数(
purchaseからSNS 初回分) - 初回 CPA(制作+広告の合計費 ÷ 初回購入数)
- LINE 登録→7日内購入率(6章の方法)
- MER(売上 ÷ 広告費)
目安(第1回のおさらい)
- 週300セッション
- ATC ≥ 3%
- 初回 CPA ≤ 初回粗利
- LINE→7日内購入率 ≥ 1.5%
→ 2指標以上クリアで継続/未達は一旦お休み
シート雛形(コピペ)
| 週 | チャネル | テーマ/変奏 | セッション | ATC率 | 初回購入 | 初回CPA | LINE→7日購入 | MER | 学び |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 06 | benefit/hookA | 380 | 3.4% | 6 | ¥3,100 | 1.6% | 5.2 | “悩み直撃”が刺さる | |
| 06 | benefit/hookB | 320 | 1.9% | 2 | ¥7,800 | 0.7% | 2.1 | 冒頭の言い方、弱い | |
| 06 | YouTube | proof/compare | 210 | 3.1% | 4 | ¥3,900 | 1.2% | 4.8 | 比較の見せ方、継続 |
「数値が変だな?」と思ったら(原因の切り分け表)
| 兆候 | ありがち原因 | すぐできる対処 |
|---|---|---|
| セッションは多いのに ATC が低い | LP で価値が伝わらない/不安が残る | LP の上部をベネ→証拠→保証の順に再構成。到着日・送料・返品を目立たせる |
| ATC は高いのに購入が伸びない | 決済導線が遠い/ボタンが見えにくい | 「今すぐ購入」を上部固定。支払い方法・到着日を早期表示 |
| ある週だけ ATC が急落 | UTM ミス/LP 差し替え/在庫切れ | UTM と LP の変更履歴を確認。在庫・バリエーションもチェック |
| GA4 の参照元が“自社”だらけ | 決済ドメインからの自己参照 | GA4 の参照除外に決済ドメインを追加 |
| 2重計測っぽい | テーマとアプリ双方で送信 | どちらかを OFF に。テスト注文で確認 |
| LINE→購入率が低い | 登録後の体験が弱い | 7日3通(ベネ→使い方→レビュー)を自動配信に |
それでも迷ったら:“人間ビュー”で点検
- 自分のスマホで SNS →リンク→LP→カート→決済→サンクスまで実際に操作
- GA4 のリアルタイムを横で見ながら、イベントが順番に出てくるかを確認
- LINE 登録→ウェルカム→専用 LP→カウントされるかもチェック
ここまでやると、どこが詰まっているかが体で分かります。
LIN E連携:7日3通のミニシナリオ(雛形)
- Day0(登録直後):ようこそ+使い方1分動画(ベネ一言で始める)
- Day2:失敗あるあるの回避(Q&A/短尺/画像3枚でOK)
- Day6:レビュー紹介+ミニクーポン(在庫僅少や再入荷通知の案内も)
リンクは全部 UTM 付きで。
例)...?utm_source=line&utm_medium=dm&utm_campaign=onboarding&utm_content=day2_tips
これで「登録→7日内購入率」を週次で比較できます。完璧より継続が正義。
品質を上げる小ワザ(計測×クリエイティブ連動)
- 同じテロップを2回使う(記憶に残る → ATCが微増しやすい)
- 最初の1秒の言い回しを3変奏(第4回)→ UTMの
utm_contentで判別 - UGC(お客さま投稿)の許諾を取って LP へ再配置(CVR↑→初回 CPA↓)
- 専用LPのファーストビューに「到着日・送料・返品」を必ず明記(不安を潰す)
予算と計測のバランス(広告を使うとき)
- 広告は勝ちクリエイティブだけに少額(2,000〜5,000円/日)
- 目的はバズではなく検証:初回 CPA と ATC の改善が出るか
- 週次で MER(売上÷広告費)を見て、上向きなら増額、下がるなら一旦お休み
よくある Q&A(寄り添い版)
Q. UTM を毎回付けるのが面倒…
A. テンプレをメモに置いてコピペ。リンクまとめも UTM 入りで固定しておくと楽です。
Q. GA4 の画面、難しすぎる…
A. 標準レポートと週次シートだけで OK。余裕が出たら Looker Studio に移行しましょう。
Q. LINEの“正確な登録数”が取れない
A. 6章の“専用 LP+期間比較”で十分。毎週同条件で見られれば意思決定に困りません。
Q. どこまで細かく計測すべき?
A. 4イベント+LINE→7日で足ります。細かすぎると運用が止まるのが一番の損失。
今日のまとめ(3行)
- UTM で入口を分け、GA4 の4イベント(
view_item→add_to_cart→begin_checkout→purchase)を見る。 - LINE 登録→7日内購入率は専用LP+期間比較で現実的に測る。
- 週次ダッシュボードで ATC/初回 CPA/LINE→7日/MER の4本柱だけチェック。
合言葉
- いいねは卒業。見るのは ATC と CPA とペイバック。
- 完璧より継続。毎週同じ手順で測る。
- 数字で言い切る。感情ではなくKPIで。
付録 A:UTM コピペ集
- Instagram(ベネ・フック A)
?utm_source=instagram&utm_medium=social&utm_campaign=2025wk06_benefit&utm_content=hookA
- YouTube(証拠・比較)
?utm_source=youtube&utm_medium=video&utm_campaign=2025wk06_proof&utm_content=compare
- LINE(オンボーディング Day2)
?utm_source=line&utm_medium=dm&utm_campaign=2025wk06_onboarding&utm_content=day2_tips
付録 B:週次チェックリスト(印刷推奨)
- 今週の投稿リンクに UTM は付いた?
- チャネル別に専用 LPで受けた?
- ATC 率・初回購入数・初回 CPA を記録した?
- LINE 登録→7日内購入率を集計した?
- 勝ち1本を決め、来週の改善1点を書いた?
付録 C:やさしい用語ミニ辞典(再掲+追加)
- ATC 率:
add_to_cart ÷ view_item。欲しい度の指標。 - 初回 CPA:新規1人の獲得にいくらかかったか。粗利内が目安。
- ペイバック:初回が赤字でも、何回目の購入で回収できるか。
- MER:売上÷広告費。全体の効率を見る。
- 参照除外:決済ドメインから戻ってきたアクセスを“自社流入”として数えないためのGA4設定。
- サンクスページ:購入完了ページ。
purchaseイベントを置く場所。
付録D:トラブル時の“これだけやれば OK”メモ
- UTM が計上されない → 短縮URLの設定でパラメータ保持を ON
- 購入が2件に増える → イベントの二重送信を停止(テーマ or アプリのどちらかだけ)
- 参照元が自社だらけ → GA4 の参照除外に決済ドメインを追加
- LINE→購入が追えない → 専用LP+期間比較に切替(6章)
次回(第6回)予告
「6週間スプリントの回し方」
“仮説→制作→投稿→レビュー”をハイテンポで回し、小さく試して速く捨てる運用を作ります。実験ログ表、ABテストの型、週次レビューの台本までそのまま使えるテンプレを配布予定です。
おつかれさまでした!
計測は難しそうに見えて、最小セットならシンプルです。
UTM+4イベント+LINE 7日。これだけで、あなたの SNS 運用は“感覚の世界”から“意思決定の世界”へ。
数字を味方に、次の6週間へいきましょう。
📚 「SNSは必須か?」を数字で答える——ネットショップのための“選択と集中”フレームワークシリーズ一覧(全12回:基本編10+応用編2)
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