今日のゴール

  • 「続ける/一旦お休み(やめる)/広げる」を感情ではなく仕組みで決められるようにする
  • スコアカード(点数表)ガードレール(安全装置)をつくって、誰が見ても同じ結論になる状態にする
  • 第1〜6回でつくってきた KPI・ACE・6週間スプリントを“自動判定”に接続する

肩の力を抜いていきましょう。今回のテーマは「判断の外注」です。
がんばって作った投稿ほど、やめるのはつらい。だからこそ、やる前に線を引く
線を先に引いておけば、未来のあなたを助けてくれます。


この記事の目次

1分のおさらい(どこまで来た?)

  • 第1回:SNS は“必須”じゃない。やるなら数字で
  • 第2回ペルソナ×購買行動×ジョブを紙1枚に。
  • 第3回ACEスコアでチャネルを上位1〜2に。
  • 第4回柱×フォーマット×CTA週1テーマ×3変奏で。
  • 第5回UTM/GA4/LINE×EC で“いいね”を卒業。
  • 第6回6週間スプリントKill/Keep/Scale の運用。

そして第7回は、「判断を事前に決める」回。
スコアカード+ガードレールで、迷いをカットします。


なぜ“事前の線引き”が必要?(やさしい心理学)

  • サンクコスト:時間と労力をかけるほど、やめづらくなる。
  • 確証バイアス:自分の仮説を裏付ける数字だけを見がち。
  • 波の錯覚:短期の上下に心が揺れる。
    やる前に“合格ライン”を決め、仕組みで判定すれば、気持ちがラクに。

判定の柱はたった3つ(+1補助)

主役 KPI(第1回)

  1. ATC 率(Add to Cart):欲しい度
  2. 初回 CPA:お金のバランス
  3. LINE 登録→7日内購入率:育成の効き
    +補助:週セッション/MER(全体体温)

この3つで“買うに近い”動きを見ます。
“いいね・再生数・保存”はヒントであって、合否ではありません。


“自動判定”のスコアカードをつくる

点数のつけ方(0/1のシンプル版)

以下の3条件のうち、満たした数で判定します。

  • ATC 率 ≥ 3% … 1点
  • 初回 CPA ≤ 初回粗利 … 1点
  • LINE 登録→7日内購入率 ≥ 1.5% … 1点

合計

  • 2点以上継続(Keep/Scale)
  • 0〜1点一旦お休み(Kill)

“2点”基準の良さ
1指標だけ好調だと偶然の可能性が高い。
2つ以上動いていれば再現性がある。

重みづけ(応用:A 重視の1.5点方式)

“うちは新規購入を優先したい”など方針があるなら、ATC に重みを。

  • ATC(主):1.5点
  • 初回 CPA:1.0点
  • LINE→7日:1.0点

合計

  • ≥2.5点 → 継続
  • <2.5点 → 一旦お休み

スコアカード(コピペ)

# Scorecard (Week __)
目的:新規購入 / LINE 登録
粗利(初回1件あたり):¥____

[KPI判定]
ATC 率(目標3%以上):__%    → □達成(1点 / 1.5点)
初回 CPA(粗利以下):¥__    → □達成(1点)
LINE→7日内購入率(1.5%以上):__% → □達成(1点)

合計:__点  → 判定: 継続 / 一旦お休み
メモ(根拠と気づき1行):

注意:サンプルが少ない週(セッションが極端に少ない)は保留。翌週に同条件で延長してから判定します。


ガードレール(安全装置)を先に決める

スコアカードは合否。でも、運用中に危険サインが出ることも。
そこで“止まる・減速する”ためのガードレールを置きます。

予算ガード(ストップロス

  • ルール
    • 1日あたりの制作+広告費が粗利の1.2倍3日連続で超えたら、配信停止→原因切り分け
    • 1週間初回CPAが粗利の1.5倍なら、撤収(Kill)。

体験ガード(顧客接点の品質

  • 否定的コメントの増加率前週比200%を超えたら、FAQ の再発信& LP の Q&A追記を先に。
  • 在庫逼迫:在庫が1週間分未満になったら、広告→育成(LINE)へ重心を移す。

データガード(誤判定の防止

  • GA4 の参照除外やイベント二重計測の疑いが出たら、その週は判定保留リアルタイムで再確認(第5回)。
  • 外乱(大型セール、天候、ニュース)週は注釈を残し、3週移動平均で見る(第6回)。

合言葉止められる仕組みは、進める仕組みと同じくらい大事。


Kill / Keep / Scale を“自動で”選ぶ判定表

スクロールできます
判定スコアカードガードレール次アクション(必ず1つ)
Scale2点以上(重みの場合2.5点以上)問題なし少額広告(2,000〜5,000円/日)で拡張/勝ちクリエイティブの移植(第4回・第6回)
Keep1点(または2.0〜2.4点)改善余地ありフック言い換え1点だけ変更/LPの上部(到着日・返品)を強化
Kill0点もしくはガード違反撤収。柱 or チャネルを変更。学びを1行で保存(後述)

“撤収”=負けではありません。**“学びの回収”**です。


優先順位づけ:どの実験からやる?(RICE をやさしく)

スプリントのネタ帳が増えてきたら、優先順位が必要です。
ここでは一般的な RICE をやさしくアレンジ

  • Reach(届く人):週あたりどれくらいの人に届く?(小=1/中=2/大=3)
  • Impact(影響):ATC・CPA・LINE→購入にどのくらい効きそう?(小=1/中=2/大=3)
  • Confidence(確信度):レビューやデータの裏付けは?(低=0.5/中=0.8/高=1.0)
  • Effort(労力):作成に何時間?(多い=3/ふつう=2/少ない=1)→分母に使う

RICE スコア(Reach × Impact × Confidence) ÷ Effort
高い順に試します。

例)
「悩み直撃のフック」:R=2, I=3, C=1.0, E=1 → 6.0
「比較表の長尺動画」:R=1, I=3, C=0.8, E=3 → 0.8
→ まずは“悩み直撃”から。

第3回のACE(チャネル適合)でチャネルを絞り、RICE で“何を試すか”を並べる。
ACE×RICE×スコアカードで、運用はスムーズに回り始めます。


具体例で“自動判定”を体験(2ケース)

ケース A:自然派ヘアオイル(3,200円・粗利1,600円)

6週間合計(Instagram 中心・LINE 連動)

  • セッション:2,200
  • ATC 率:3.4%(合格)
  • 初回購入:34件/制作+広告費:¥96,000初回 CPA=¥2,824(粗利内で合格)
  • LINE→7日内購入率:1.3%(未達)

スコアカード:ATC○(1点)+CPA○(1点)+LINE×(0点)=2点 → 継続
次アクションScale(広告少額)+LINEのDay2改善(使い方→失敗回避へ差し替え)

ケースB:静音ワイヤレス掃除機(19,800円・粗利5,500円)

6週間合計(YouTube 長尺→短尺移植)

  • セッション:1,200
  • ATC 率:2.2%(未達)
  • 初回購入:18件/合計費:¥124,000初回 CPA=¥6,888粗利超えで未達)
  • LINE→7日内購入率:1.7%(合格)

スコアカード:ATC×(0点)+CPA×(0点)+LINE○(1点)=1点 → 一旦お休み(Kill)
次アクション撤収→チャネルは YouTube 継続、柱を“証拠→比較強化”に変更。LP の上部に「到着日・返品・分割」を明記し、分割導入でE(経済性)を押し上げる(第3回参照)。

ポイント:1指標だけ良くても感情で続けない2点を基準に静かに判断。


“止めどき・増やしどき”のルール(デイリー運用の保険)

止めどき(Stop-Loss)

  • 初回 CPA が粗利の1.2倍を3日連続:配信停止→原因切り分け
  • ATC<1.5%が2週連続Kill(別テーマへ)

増やしどき(Take-Profit)

  • ATC≥3% & CPA≤粗利2週連続予算を1.5倍(日額2,000→3,000円)
  • LINE→7日≥1.5%を2週連続:Day6 に UGC 紹介ミニクーポンを追加→“育成の回収”を加速

やめる基準を先に決めると、増やす基準も自然に決まります。


誤判定を減らすコツ(数字とのつきあい方)

  • 3週移動平均で見る(第6回)
  • サンプル不足の週は保留。「セッション300/週」をめやす
  • 外乱(セール・天候・トレンド)は注釈で切り分け
  • データ崩れ(自己参照・二重計測)は、週内に直す→その週は判定しない(第5回)

“学びの資産化”で次がラクになる(1行で OK)

学びの型(コピペ)

[学び(1行)]
悩み直撃フックは保存→ ATC↑(3.6%)。LP の「到着日・返品」を上部に出すと Checkout↑。

保存の場所

  • スプレッドシートの“学び”列
  • Notion/メモアプリの「学び」DB(タグ:チャネル/柱/フック/結果)
  • 社内Slackの#learningチャンネルで1行共有

“学びの文字数は少ないほど使われる”が合言葉。


チームで回す“15分判定ミーティング”の台本

  1. 今週のスコアカード(3指標の達成チェック)
  2. ガードレール違反は?(あれば即時対応)
  3. Kill/Keep/Scale の決定(1分で)
  4. 学び1行の口頭共有(各人1本まで)
  5. 来週の仮説1行を決めて終了

時間は15分固定議論より“決める”を重視。


B2B/高単価/実店舗の“判定アレンジ”

  • B2B商談化率(フォーム→商談)をATC の代替として採点。CPA獲得単価(リード/商談)で。LINE の代わりにメルマガ反応→商談率を。
  • 高単価分割・後払いの導入でE(経済性)を改善。YouTube 長尺+比較を厚めに(第3回)。
  • 実店舗併用来店予約・クーポン提示ATC の近似として採点。Google マップのレビュー増加率も補助指標に。

よくある“つまずき”とやさしい処方箋

Q. 1点ばかりで、なかなか2点に届きません…
A. KPI の順番を戻す:まず ATC→次に CPALP の上部(ベネ→証拠→保証)を磨くと、ATC は上がりやすい。

Q. Kill 続きで心が折れます
A. Kill=学びの回収“1行の学び”を積めば資産です。チャネルを変えず柱を変えるのも手。

Q. チームで意見が割れる
A. スコアカードガードレールに立ち返り、「今は機械的に」を合言葉に。

Q. 指名検索が伸びているのに、スコアは1点
A. 補助指標として週次でプラス評価、ただし合否は変えない6週間単位で“全体効果”を振り返る。


まとめ(今日の3行)

  1. スコアカード(ATC・CPA・LINE→7日)で2点以上なら続ける、未満なら一旦お休み
  2. ガードレール(予算・体験・データ)で止まる仕組みを先に置く。
  3. RICE で実験の順番を決め、学び1行を資産化。判断は“事前に”決める

付録 A:スコアカードひな形(週次)

# Week __ Scorecard
目的:新規購入 / LINE 登録
粗利(初回1件あたり):¥____

ATC 率(目標3%以上):____%  → [ ]達成(1/1.5点)
初回 CPA(粗利以下):¥____ → [ ]達成(1点)
LINE→7日内購入率(1.5%以上):____% → [ ]達成(1点)

合計:__点 → 判定: 継続 / 一旦お休み
注記(外乱・データ注意):_________________
学び(1行):________________________________
来週の仮説(1行):___________________________

付録 B:ガードレールメモ(印刷用)

  • 費用:CPA>粗利×1.2 が3日連続 → 停止
  • 成果:ATC<1.5%が2週連続 → Kill
  • 体験:否定コメント増加率>200% → FAQ 再発信/LP追記
  • 在庫:1週間未満 → 広告→育成(LINE)へ重心移動
  • データ:自己参照・二重計測疑い → その週は判定保留(第5回)

付録 C:RICE シート(カンタン版)

スクロールできます
実験名Reach(1-3)Impact(1-3)Confidence(0.5/0.8/1.0)Effort(1-3)RICE(=R×I×C÷E)順位
悩み直撃フック231.016.01
比較長尺130.830.83
UGC 挿入 LP220.813.22

付録 D:6週間の“自動運転”セット(まとめ)

  1. ACE でチャネルを絞る(第3回)
  2. 週1テーマ×3変奏で制作(第4回)
  3. UTM/GA4/LINE で計測(第5回)
  4. 6週間スプリントで回す(第6回)
  5. スコアカード+ガードレール機械的に判定(第7回 ← いまここ)

次回(第8回)予告

「UGCとレビューの“仕組み化”」
買ったお客さまの“生の声”を安全に・継続的に集め、LP・SNS・LINE に再配置して ATC と CVR を底上げする方法を、許諾テンプレ・導線設計までセットでお届けします。
“つくる”だけでなく、“集めて活かす”へ。次回は楽をして強くなる回です。


おつかれさまでした!
やめる基準を先に決めると、続ける理由もハッキリします。
あなたの情熱は、判断ではなく改善に使いましょう。
スコアカードガードレールが、きっと背中をそっと押してくれます。

📚 「SNSは必須か?」を数字で答える——ネットショップのための“選択と集中”フレームワークシリーズ一覧(全12回:基本編10+応用編2)

  1. SNSは“必須”なのか?ネットショップが迷わないための実務ガイド 基本編
  2. お客さまから始めよう —— ペルソナ×購買行動×ジョブを“紙1枚”で見える化するやさしい作り方 基本編
  3. チャネル適合診断(ACE スコア)を実戦投入 — 上位1〜2に“集中”して成果を最短化するやさしい手順 基本編
  4. コンテンツ設計 ─「柱×フォーマット× CTA」を“週1テーマ×3変奏”で回す、やさしい作り方 基本編
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  10. 広告とリタゲの“最小構成”——勝ちクリエイティブだけ回して、ムダ打ちしないやさしい実務 基本編・最終回
  11. 運用自動化&テンプレ工房 —— 週1テーマ×3変奏を“止めずに”回す、やさしい仕組みづくり 応用編
  12. ケーススタディ集 —— 美容/家電/食品で「勝ち筋」と「やりがち NG」を実例から学ぶ 応用編・最終回

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