— モールでは語り切れない“理由”を積み上げ、指名と自然検索で売上を底上げする

はじめに:自社 EC の最大の武器は「語る自由」

楽天や Yahoo! ショッピングは“買う場所”として強力ですが、なぜその商品を選ぶのか/自分にとって最適かを丁寧に語る余白は小さめです。
自社ECは逆。物語・比較・使い方・失敗回避・保証まで、購入前後の不安をコンテンツで削り、指名検索自然検索(Organic)を増やせます。広告費に依存しない売上の土台を、ここで設計しましょう。


差別化の方向性:モールで“買う” vs 自社で“選ぶ”

モールの強み:即時性/ポイント経済圏/価格比較の容易さ
自社ECの強み

  • 深い情報提供(比較・失敗回避・素材・規格・保守まで)
  • ブランドの一貫性(世界観・保証・カスタマー成功)
  • 購入特典の自由度(延長保証・名入れ・セット/定期・先行販売)
  • LTVを高める接点(メール・コミュニティ・会員プログラム)

設計思想:モールは「買いやすさ」で勝ち、自社 EC は「選びやすさ+買った後の安心」で勝つ。


コンテンツ戦略の骨格:Pillar & Cluster(柱と群)

3本の“柱(Pillar)”

  1. 選び方:規格・サイズ・比較・チェックリスト
  2. 使い方:設置・手入れ・活用レシピ・トラブル解決
  3. 失敗回避:よくある誤解・NG例・買い替え基準・返品しないコツ

※各Pillarは総合ガイド(3,000〜6,000字)関連“群(Cluster)”記事10〜20本で構成。
例:収納ボックスなら

  • Pillar:収納ボックス完全ガイド(素材/容量/場所別)
  • Cluster:クローゼット向け/押し入れ規格表/子ども部屋の安全性/65Lで足りる?/衣替えの段取り…など

クラスタの型(テンプレ)

  • 比較:A社 vs B社 vs 自社(数字だけで差分)
  • 用途別:一人暮らし/ファミリー/賃貸/業務用
  • サイズ別:内寸・外寸・A4/衣類の実例入り
  • 素材学:PP・ABS・金属—強度・耐熱・匂いの実測
  • FAQ深掘り:上位10質問を1記事=“選ぶ前の不安”をゼロに
  • 保守:割れ・歪みの対処、交換パーツのガイド

検索意図で色分け:

  • TOFU(知る):選び方・規格・素材学
  • MOFU(比べる):比較・事例・失敗回避
  • BOFU(買う):サイズ早見表・在庫/到着・クーポン案内

キーワードの集め方と“売れる意図”の見極め

意図でラベリング

  • 情報系(How/What/比較/サイズ/失敗):CVR は低めだが母数と指名を育てる
  • 商用調査(型番+比較/最安値/レビュー):CVR 中程度、ROAS 良好
  • トランザクション(型番+購入/在庫/即日):CVR 高いがボリュームは小さめ

“売れるキーワード”の判断式(簡易)

期待売上/月 = 検索数 × CTR(自然) × CVR(該当ページ) × AOV
優先度 = 期待売上/月 ÷ 予想制作コスト
  • 検索数だけで決めない。現在の自然CTR当該ページCVRを掛けて“お金になる度合い”で整列。
  • 既存ページの内部リンクで到達可能なら、新規記事よりリライトを先に。

LLM の賢い使い方(補助)

  • 発散:同義語・悩み・反対語を洗い出す
  • 構造化:見出し案・チェックリスト化
  • 校正:曖昧表現や主観語の削減
    事実の裏取り数値・規格必ず一次情報で確認過剰な自動生成は禁物

情報設計:ハブと内部リンク、カニバ防止

  • Pillar (ハブ)から Cluster へ、Cluster 同士を横連携。
  • アンカーテキストは“意図を含む自然語”で3〜6語。
  • 近いテーマの重複を避けるため、キーワード台帳に「主従」を明記。
  • 似た意図の記事ができたら片方をリライトして canonical 統一。
  • パンくず/カテゴリー設計用途ベース(“収納 > クローゼット > 衣替え”など)。

テクニカル SEO:速さと正しさを保つ

  • 速度:LCP < 2.5s、CLS < 0.1、INP < 200ms。ヒーロー画像preload、WebP/AVIF、srcset最適化。
  • 構造化データProduct / AggregateRating / FAQPage / HowTo / BreadcrumbList / Organization嘘の星表示は厳禁
  • インデックス最適化
    • 絞り込み・並び替えは noindex(重複回避)
    • 正規URLに canonical
    • XML sitemaprobots.txt の整備
  • 多言語/多地域がある場合はhreflang
  • 404/301運用:廃盤は後継ページへ301、完全終了はベスト“代替案”のガイドを提供して離脱を防ぐ。

文章とビジュアル:CVR を上げる執筆・撮影ルール

  • 見出し1文=25〜35字箇条書き=12〜16字に収める
  • 画像は用途が一目+尺度(手・定規・A4)。色味は昼白色で再現
  • 比較表数字のみ(主観語を削る)
  • FAQ上位5を記事の上部
  • CTA(資料DL/サイズ表PDF/クーポン/相談)の親指ゾーン固定
  • 保証・返品の一行(最短◯/◯到着・30日返品可)をFVで太字

“自社で買う理由”を記事に埋め込む

  • 延長保証:モール同価格でも**+3か月**は自社限定
  • セット・名入れ・カスタム自社限定SKUを用意
  • 定期/消耗品バンドル:使い切りに合わせた補充提案
  • 先行販売・限定色:ニュース性で指名検索を増やす
  • 下取り/買い替え支援:環境・家計の合理性を提示
  • コミュニティ・会員:メンテのライブ配信、使い方投稿で UGC を増やす

コンテンツの結論部に「自社 ECだとこう得」自然に(ゴリ押しせず)置くのがコツ。


計測 KPI と“勝っているサイン”

集客系

  • 非指名自然流入(ブランド名を含まない検索)
  • 上位10記事の合計セッション滞在時間
  • 指名検索数(ブランド+商品名)—月次での増加率

収益系

  • 記事経由CVR(ランディング→購入)
  • 記事経由AOV(セット・定期の寄与)
  • 貢献利益/Organic=売上×粗利−(送料+資材+手数料+返品損)

コンテンツ品質

  • ランキング到達率(目標KWのTop10入り%)
  • 被リンク獲得数(自然)
  • レビュー増加速度(記事経由の購入者に中立依頼)

意思決定のための1枚物

  • KW×記事×セッション×CVR×AOV×貢献利益のヒートマップ
    “当たり群”へ倍賭け/“負け群”は停止か再設計

編集運用:90日ロードマップ

Day 1–14(設計)

  • Pillar×3の目次を決め、Cluster 候補30–50本を台帳化(意図・検索語・KPI・競合URL)
  • テンプレ作成:見出し型/FAQ/比較表/CTA配置
  • テクニカル初期対応:速度・構造化・サイトマップ・カテゴリ/タグ

Day 15–30(初期公開)

  • Pillar 1本+Cluster 6–10本を一気に公開(内部リンク済)
  • サイズ表PDF/チェックリストなど“持ち帰り資産”を用意(メール獲得)

Day 31–60(強化)

  • 検索コンソールで表示→CTR低い見出しをA/B(タイトル微修正)
  • 比較表画像失敗回避の追加でCVRを上げる
  • レビュー中立依頼の自動化(購入後メールT+3/T+10)

Day 61–90(拡張)

  • Pillar 2本目公開+関連Cluster
  • 事例記事(導入前後のBefore/After)を3本
  • 被リンク施策:一次データ(実測図表)を提供→業界メディアへピッチ

限られた工数で“効く”順序(週5hでも回す)

  1. Pillar 1本+Cluster 5本(選び方・サイズ・比較・失敗回避・FAQ)
  2. 主画像・比較表の改善(商品ページ側)
  3. サイズ表PDFを作りメール取得
  4. 購入後メールでレビュー中立依頼
  5. 月1回のリライト会(検索語・CTR・CVRで上位5本だけ手当)

具体コンテンツ例(そのまま着手 OK)

  • 「◯◯を選ぶ前に知るべき7つの規格」(Pillar)
  • 「65 Lで足りる?“人数×衣替え回数”の早見表」(Cluster:実用式)
  • 「A 社 vs B 社 vs 当社:耐荷重・容量・保証を数字で比較」(Cluster:比較)
  • 「返品しないための採寸チェックリスト PDF」(リード獲得)
  • 「1年使って分かった“割れ”の原因と対処」(Cluster:保守HowTo)
  • 「レビューで多い誤解5つ、実物写真で検証」(信頼構築)

体験をつなぐ“導線”設計

  • 記事→商品:スクロール40–60%位置で関連 SKU カードサイズ選択
  • 記事→比較 LP:迷う人には比較に誘導(CVR↑)
  • 記事→資料 DL:チェックリスト PDF のメール交換
  • 記事→相談LINE /チャット営業時間表示返答 SLA を明記
  • 購入後→記事:同梱カードとメールで使い方記事に再訪

品質管理 SOP(週次30分)

  • 検索語レポート:新出語→見出しFAQ
  • レビュー Top3:原因→画像・文言を当週中に修正
  • リンク切れ・在庫切れ:自動チェック→代替案を提示
  • 競合監視:比較表の数字の更新だけに集中(煽りはしない)

WooCommerce での LLM 対策(プラグイン活用の最短ルート)

結論:WooCommerce なら、WordPress公式の「Website LLMs.txt」を入れるだけで、LLM 向けの/llms.txtを自動生成し、AIに読みやすいサイト目録を常時最新に保てます。Yoast/Rank Math のサイトマップや noindex 設定とも連携できるので、実装負荷は最小です。WordPress.org 日本語

できること(要点)

  • /llms.txt の自動生成・更新:重要 URL を構造的に列挙し、ChatGPT/Claude などがサイト構造と“どれが重要か”を把握しやすくします(更新頻度は即時/毎日/毎週を選択可)。WordPress.org 日本語
  • SEOプラグイン連携:Yoast/Rank Math のサイトマップを参照し、noindex は除外。余計な URL を AI に渡しません。WordPress.org 日本語
  • 仕様の背景:/llms.txt は LLM が参照しやすい目録を提供する提案仕様で、対話検索・AI エージェント時代の“原典提示”を狙う取り組みです。llms-txt

導入手順(3分で完了)

  1. プラグインをインストール→有効化
  2. 設定→LLMS.txt で「含める投稿タイプ」を商品(product)+ガイド/ FAQ 等に設定
  3. 更新頻度を選択(更新の多い EC は毎日がおすすめ)
  4. 動作確認https://ドメイン/llms.txt にアクセスして内容を確認(重要 URL が並ぶ)

EC向けの推奨ルール

  • 含める:商品詳細、カテゴリ LP、サイズ表/比較表、FAQ、返品・配送ポリシー、購入ガイド
  • 除外:カート・チェックアウト・マイアカウント・検索結果・クーポン一覧・テスト/ステージング URL
  • タイトル/見出しを簡潔にFAQ は Q→A で明記(AI が抜粋しやすい)
  • 商品は 1SKU =1ページの原則+正規 URL 統一(カニバ回避)

併せてやると効くミニ施策

  • 構造化データ(Product/FAQ/HowTo/Organization)を商品・ガイドへ付与
  • アンカーリンク(例:#faq-size)で深部見出しに ID を振る
  • Alt/キャプションに用途・サイズ感を明記(画像由来の誤読を減らす)

注意:/llms.txt はまだ“提案”段階の仕様です。万能ではありませんが、自社 EC の重要情報を機械可読に整理し、対話型検索で正しく参照される確率を上げる“低コストの保険”になります。まずはプラグイン導入と重要 URL の棚卸しから始めましょう。


よくある失敗と回避

失敗症状回避策
検索数だけで選題流入は来るが売れない意図 × CVR × AOV で優先度付け
自動生成に頼り過ぎ表現が薄く、順位も上がらない一次情報・実測画像で差別化
記事乱立でカニバどちらも中途半端台帳と canonical、1本に統合
速度軽視モバイル直帰↑LCP/CLS/INP を毎週監視、画像最適化
CTA 不足読まれるが CVR 低い親指ゾーン固定、資料 DL・比較導線を増設

まとめ:コンテンツは“信頼の資産”、SEO は“導線の設計”

  • Pillar&Clusterで“選ぶ理由”を体系化し、内部リンクで迷いを解く
  • テクニカル SEO は“速さと正しさ”の土台、構造化で検索結果をリッチに
  • 自社で買う理由(保証・セット・先行・定期)を記事の結びに自然配置
  • KPI は利益で判定。CVR を上げて許容 CPC在庫回転を広げ、モール運用にも好影響を返す

実行に使える台帳テンプレ(KW×意図×記事URL×CVR×貢献利益)や、初回90日カレンダーのフォーマットも用意できます。今ある商品URLと、上位を狙いたい KW を3つ教えてください。そこから“当たりに寄せる”設計を、そのまま明日から動かせるタスクに落とし込みます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です