“見る→直す→儲かる”を最短化する実装&運用ガイド

目的は「決裁可能な事実」を作ること。GA4で“売上ファネル”を数値化し、ヒートマップで“どこで迷うか”を可視化、週次で改善ループに載せます。ここでは 標準KPI・イベント設計・実装パターン(プラグイン対応)・QA/運用テンプレをまとめます。


計測のゴール(標準 KPI)

  • 売上ファネルview_item_list → view_item → add_to_cart → begin_checkout → purchase(各遷移率)
  • 商品 KPI:閲覧数、カゴ投入率、購入率、返品率(別システムでも OK)
  • 集客 KPI:自然検索/指名検索/SNS/広告ごとの CVR・AOV・貢献利益
  • UX 指標:LCP/CLS(速度)、離脱位置(ヒートマップ)、FAQ クリック率
  • 意思決定指標“どの改善がいくら効いたか”(AB テスト結果×売上寄与)

GA4 の標準イベント設計(WooCommerce 想定)

GA4 の推奨イベントでECを統一します:
view_item_list / view_item / add_to_cart / begin_checkout / add_payment_info / purchase。Google の推奨イベント一覧・実装基準に準拠してください。Google ヘルプ

items 配列(必須)

  • item_id(SKU/型番)・item_namepricequantityitem_category
  • 価格・通貨・数量の欠落型(文字/数値)不一致はレポート崩壊の原因です。DataTrue

コンバージョン設定

  • GA4 管理 > コンバージョンで purchase をON。必要に応じて begin_checkout を副指標に。
  • Enhanced measurement(スクロール・検索など自動イベント)も ON が基本(配信面で確認)。Google ヘルプ

ページ別の“必要データ”早見表

画面収集イベント追加で見たいパラメータ例
一覧(カテゴリ/検索)view_item_listリスト名、並び順(人気/価格)
商品詳細view_item在庫状況、バリエ(色/容量)、到着目安クリック
カートadd_to_cart(ボタン時)クーポン入力有無、送料見積り表示
チェックアウトbegin_checkout / add_shipping_info / add_payment_info配送方法、支払手段
完了purchase送料、割引、使用ポイント、クーポンコード

まずは漏れなく、正しい値で入る状態に。高度なカスタムはその後で十分です。


実装パターン(プラグインで最短構築)

WooCommerce Google Analytics Integration で GA4 を直結(推奨:コード最小)

  1. プラグイン導入→有効化
  2. WooCommerce > 設定 > 統合(Integration)> Google Analytics を開き、測定 ID(G-XXXX)を入力
  3. GA4 / eCommerce イベントを有効化(Enhanced eCommerce 相当)
  4. テスト注文で purchase が計測されるかDebugView/リアルタイムで確認
     → この無料公式プラグインはGA4とeコマースイベント追跡をサポートします。詳細はレポジトリ/公式ドキュメント参照。WordPress.org

補足

  • Site Kit 等の“別の GA タグ”と二重計測にならないよう、どちらかに統一。
  • EU/UK向けサイトは Consent Mode v2 に注意(2024年以降の要件)。運用事例の議論もあります。WordPress.org

このパターンは「まず正しく買い物データを飛ばす」ための最短ルート。 将来 GTM へ移行するとしても、先に収集を始めて“基準ライン”を作れます。


QA Heatmap Analytics で“どこで迷うか”を可視化(クリック/スクロール/録画)

  1. プラグイン導入→有効化(管理画面の「プラグイン > 新規追加」から検索→インストール)
  2. 解析対象ページ(商品・カテゴリ・LP)を選び、サンプリング率保持期間を設定
  3. ヒートマップ(クリック/スクロール)とセッションリプレイで、
     - “購入ボタンまで届いていない”
     - “到着/送料/返品の情報にたどり着けていない”
     - “画像の何枚目で離脱しているか”
     を確認し、画像順・CTA 位置・FAQ の上げ下げに反映

このプラグインはヒートマップ&リプレイを備え、プライバシー配慮を掲げています(GDPR/CCPA言及)。セットアップは WP 標準手順で簡易。WordPress.org

セキュリティは最新版維持が鉄則。過去バージョンに脆弱性報告があるため、更新とユーザー権限の管理を習慣化してください。wordfence.com


“見る→直す”の運用テンプレ(週次30–45分)

Step1:数字を見る(GA4)

  • 先週の view_item → add_to_cart → purchase遷移率
  • 集客別CVR商品別カゴ投入率(低い=訴求ミスマッチ)
  • 「支払い追加」到達率(決済手段の情報不足やエラー兆候)

Step2:画面を見る(ヒートマップ)

  • 商品ページFV用途が一目の画像か?到着/送料/返品の一行は見えるか?
  • 折りたたみが過度で FAQ やレビューに到達していない?
  • スマホ親指ゾーンに CTA が無い?

Step3:直す(今週の改修1〜3点)

  • 主画像の順番を変更(“用途が一目+尺度”を1–2枚目へ)
  • 商品タイトルを用途語+型番に調整
  • FAQ 上位5折りたたみ解除して上部へ

Step4:結果を見る(翌週)

  • 遷移率の +0.2〜0.5pt でも許容 CPC が拡大→広告の攻め手が増える(他チャネルにも効く)

初期ダッシュボード(GA4 “保存版”)

  • ライフサイクル > 収益化 > 購入:SKU 別売上・購入単価
  • 探索(Funnel)view_item → add_to_cart → begin_checkout → purchase(デバイス別/媒体別にブレイク)
  • 探索(Path):商品詳細→離脱までの経路
  • 保存した比較:新規 vs 既存、スマホ vs PC、指名 vs 非指名
  • コンバージョンpurchase(必要なら begin_checkout も)

ファネルは指名検索/広告/SNS ごとに保存して比較。“どこで落ちるか”を言い切れるように。


品質保証(QA)チェックリスト

技術

  • 通貨・税込/税別の整合items配列の必須キーitem_id 等)存在。DataTrue
  • 二重計測なし(同ページで複数タグ重複を避ける)
  • サンクスページの再読込purchaseが二重送信されない

法務/同意

  • クッキー同意(必要地域)は同意前の広告タグ抑止、同意変更UIあり。要件は随時更新に留意。WordPress.org

運用

  • 管理者・開発のアクセスを除外(GA4 の内部トラフィック)
  • 本番更新後は DebugView で通し確認

よくある“計測の落とし穴”と処方

  • 計測より先に広告:学習できず費用が溶ける → まず GA4+購入イベントを通す
  • ページは綺麗だが買えない:ボタンが下層、FAQ が畳まれ過ぎヒートマップで配置を修正
  • 商品 ID が曖昧item_idが途中で変わる → SKU で固定(将来の在庫/CRM連携にも必須)
  • スマホ1画面で“約束”が無い:到着/送料/返品の1行を FV に入れるだけで CVR が改善

2つのプラグイン、どちらを選ぶ?

  • まずは売上データを GA4 でWooCommerce Google Analytics Integration“購入までの数字”を取る(無償・軽量・公式)。WordPress.org
  • “どこで迷うか”も見たいQA Heatmap Analyticsクリック/スクロール/録画を追加(導入容易)。WordPress.org

予算と体制が限られるなら、A(GA4)だけで先に基準線を作るB(ヒートマップ)で改善速度を上げるの順が現実的です。


導入から“運用に乗る”までの30日台本

  • Day1–3:プラグイン導入/purchase通し/管理者除外/DebugView で通し確認(WooCommerce GA連携)。WordPress.org
  • Day4–7:商品/カテゴリ/LP にヒートマップ設置(QA Heatmap)。FVとCTA到達率を測り始める。
  • Week2:GA4でファネル探索を保存。商品別カゴ投入率の下位を洗い出し、画像順・FAQ配置を修正。
  • Week3:離脱の多いセクションを改善(“用途が一目+尺度”の画像化、到着/送料/返品の1行を上げる)。
  • Week4:改善前後のファネル差分をレビュー。売上・CVR・AOVの増分を数字で報告。

まとめ:“正しく取る” → “見える化” → “毎週直す”

  • GA4 は売上ファネルの“真実”、ヒートマップは迷いの“現場”を映します。
  • まずは WooCommerce GA 連携purchaseまで確実に。必要に応じてQA Heatmapで UX の詰まりを掘る。WordPress.org
  • 改善は画像・CTA・FAQ の“配置と順番”から。+0.2pt の CVR 改善が、広告の許容 CPC と在庫回転を一気に押し広げます。

セットアップ後のスクリーンショット(GA4 リアルタイム、ヒートマップの1枚)と、主力商品の URL をください。ファネルの穴と“1週間で直せる施策”をピンポイントで提案します。

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