— “他がやっている”は免罪符にならない。売れる店ほど法令を設計に織り込む
これは一般情報です。実施にあたっては、各官公庁の最新資料・公表基準を必ず確認し、必要に応じて弁護士・税理士・行政書士にご相談ください。
はじめに:コンプライアンスは“売上の障害”ではなく“信頼の土台”
価格や定期購入の表示、領収書・請求書の発行、返品特約の書き方は法律や公的ガイドで線引きされています。近年は定期購入(サブスク/頒布会等)の誤認を防ぐ目的で、最終確認画面の表示義務が強化されました。注文確定前の画面で価格・支払・引渡時期・解約等を一覧できない設計はアウトです(通販事業者向けの公式ガイドと周知資料が整備済み)。行政機関の電子申請窓口+1
「他社もやっているから」は通用しません。総額表示(税込価格の明示)、二重価格の根拠、個人情報の取り扱い、食品・医薬品表現など、カテゴリごとの必須表示まで含めて“最初から”設計に織り込みましょう。厚生労働省+4国税庁+4行政機関の電子申請窓口+4
価格表示:総額表示・二重価格・実質価格の落とし穴
総額表示(消費税法)
消費者向けに“あらかじめ”掲示する価格は税込の総額で表示する義務があります。
許容例:
11,000円11,000円(税込)11,000円(税抜10,000円)11,000円(うち消費税額等1,000円)
税別だけの表示はNG。媒体(店頭・チラシ・Web)を問いません。国税庁
実務のコツ
- 商品名の近くに税込最終価格を1回明記。クーポンやポイントで実質を下げる場合も、基準は税込の元価格。
- セール時は比較対照価格の根拠(いつ・どこで・どれくらいの期間)が説明できるようログを保存。
二重価格表示(景品表示法)
「参考価格」「通常価格」との比較は、“最近の販売実績に基づく”価格等でなければ不当表示に該当するおそれ。短期間だけ付けた高値を“通常価格”と称して比較するのは危険です。市価比較や希望小売価格も根拠が求められます。行政機関の電子申請窓口+1
実務のコツ
- セール前相当期間その価格で販売した事実をデータで保全(期間・数量)。
- 「当店通常価格」の定義を社内規程に明文化し、乱用を防ぐ。
特定商取引法(通信販売):「どこに何を表示するか」を先に決める
「特商法に基づく表示」必須項目(概略)
- 事業者名・所在地・電話番号
- 販売価格(税込)・送料その他消費者負担
- 代金の支払時期・方法
- 引渡(提供)時期
- 返品(特約)の有無・条件・期限・送料負担
- ソフトの動作環境、数量制限、申込期間など該当時
(※広告スペース等の事情により省略の扱いがあり得ますが、“遅滞なく”提供できる体制が条件。返品特約は省略不可。)ノートラブル
最終確認画面(改正法のキモ)
注文確定直前の画面に、分量・価格(送料含む)・支払時期/方法・引渡時期・申込期間・撤回/解除(返品特約)を一覧性をもって表示する義務。誤認させる文言やレイアウトは禁止。定期購入は特に強くチェックされます。ノートラブル
実務のコツ(テンプレ)
- 「ご注文の最終確認」セクションに表形式で6項目を固定表示。
- 定期購入は「初回価格/2回目以降価格/最低回数/総支払見込額/解約期限と方法」を注文ボタンの直上に太字で。
- “定期”を隠すUI(小文字・灰色・折り畳み等)は避ける。解除妨害に当たる表現は処分対象です。ノートラブル
未承諾広告メールの禁止(オプトイン)
承諾のない消費者に広告メールを送るのは原則禁止。承諾記録の保存が必要です(注文確認・発送通知等に付随する情報は除外の扱いあり)。ノートラブル
適格請求書(インボイス)と領収方法:B2B/B2Cの線引き
適格請求書の基本(2023年10月~)
仕入税額控除の要件となるため、請求書の記載事項が定義されています。売手が登録(“T+番号”)し、買手に適切な税率・税額等を伝えるしくみ。国税庁
請求書に必要な主な記載(抜粋)
- 発行者名/登録番号
- 取引年月日
- 取引内容(軽減税率対象の明記)
- 税率ごとの合計対価(税抜/税込いずれか)と適用税率
- 税率ごとの消費税額
- 交付を受ける事業者名(小売等一部は省略可)国税庁
実務のコツ
- B2B請求は適格請求書を原則発行。メール PDF や電子請求でも要件を満たせば可。
- 領収書も実務上は適格簡易請求書の要件を意識。POS/ECの自動発行文面を点検。
- 免税事業者からの仕入れに関する経過措置(80%/50%控除など)は時限措置。※詳細は国税庁の最新情報へ。国税庁
カテゴリ別の“表示・表現”チェック
食品(健康食品含む)
食品表示法の対象。原材料・栄養成分・アレルゲン・保存方法などの必須表示+ネット販売特有の表示に関する公式ガイドブックが公開されています。機能性表示食品は別途の要件に留意。行政機関の電子申請窓口+1
化粧品・医薬部外品・医薬品関連の広告(薬機法)
効能効果の誇大表示禁止などの規制。根拠のない医療的表現や未承認効能は NG。厚労省の案内で、広告規制の骨子が整理されています。厚生労働省
個人情報(APPI)
第三者提供・海外移転の扱い、委託先管理、取得・利用目的の明示。海外提供時はガイドラインの適用関係を再確認。プライバシーポリシーは“実際の運用”に合わせて書くこと。PPC+1
※酒類販売、古物営業、たばこ/加熱式たばこ、前払式支払手段(自社ポイント)等は別途ライセンス・届出や法令が絡みます。個別に確認を。
定期購入(サブスク)の“クリーン設計”ガイド
ポイントは3つ:「誤認させない」「解約しやすい」「最終確認が明快」。
必須の見える化
- 初回価格と2回目以降価格を同じ文字サイズ・同じ近さで並記
- 最低継続回数があるなら明記(“縛りなし”ならそう明記)
- 総支払見込額(例:初回○円+2回目以降○円×回数=合計○円)
- 解約期限・方法(マイページ/電話/メール・受付時間、次回決済の何日前まで)
- 注文ボタン直上に上記をブロックで固定(折り畳まない)
やってはいけない例
- 「初回○円※」の※に重要条件を押し込む
- 解約窓口を見つけづらくする、電話しか不可
- 2回目以降価格を画像の奥に小さく
これらは最終確認画面の義務にも抵触し得ます。UI 含め設計課題と捉えてください。ノートラブル
返品・解約・配送:書けば売上が落ちる?—むしろ逆
返品特約は省略不可。返品可/不可・期間・条件・送料負担を冒頭に1行で。隠しても CVR は上がらず、むしろ不信→レビュー悪化の火種になります。通信販売での撤回・解除に関する民事ルールや、前払式の通知義務も特商法に整理されています(詳細は公式ガイド)。ノートラブル
ひな形(コピー&調整用)
「特商法に基づく表示」テンプレ
販売業者:株式会社◯◯
運営責任者:◯◯ ◯◯
所在地:〒xxx-xxxx 東京都◯◯区◯◯1-2-3
電話番号:03-xxxx-xxxx(受付:平日10:00-17:00)
メール:support@example.jp
販売価格:各商品ページに税込価格で表示。送料はカート内に表示。
支払方法・時期:クレジット/後払い/コンビニ/銀行(注文確定時/各社規定)
商品の引渡時期:営業日◯〜◯日以内に出荷(予約品は商品ページ記載)
返品・交換:初期不良は到着後7日以内に無償対応。お客様都合は未開封に限り7日以内可(往復送料・振込手数料はお客様負担)。食品・衛生品は不可。
(※自社の運用に合わせて必ず調整。返品特約は省略不可)ノートラブル
最終確認画面の表示例(定期購入)
[ご注文の最終確認]
・商品名/分量:
・初回価格(税込):
・2回目以降(税込): / 最低継続回数: / 総支払見込額:
・送料/手数料:
・支払方法/時期:
・お届け時期:
・解約方法と期限:マイページ/電話(平日◯-◯)/次回決済◯日前まで
・返品特約:上記リンク(別ウィンドウ)/概要をここにも1行で
[注文を確定する]
(折り畳みや極小文字は避ける)ノートラブル
適格請求書(インボイス)項目チェック
□ 発行事業者の名称
□ 登録番号(T+番号)
□ 取引年月日
□ 取引内容(軽減税率対象の明示)
□ 税率ごとの合計対価(税抜or税込)と適用税率
□ 税率ごとの消費税額
□ 交付先の名称(小売等は省略可の特例あり)
(領収書・明細メールもこの観点で点検)国税庁
よくある NG とすぐ直せる対策
| NG例 | なぜ危険 | すぐやる対策 |
|---|---|---|
| 「税別」だけの価格表記 | 総額表示義務違反の恐れ | 税込価格を商品名近くに太字で。税抜を補足表記に。 国税庁 |
| 「当店通常価格」根拠なし | 二重価格の不当表示リスク | 販売実績データを保全。根拠なければ比較表記を外す。 行政機関の電子申請窓口 |
| 定期の2回目価格が小さく隠れている | 最終確認義務/誤認の懸念 | ボタン直上に初回/2回目/総額/解約を同格で。 ノートラブル |
| 未承諾のメルマガ一斉送信 | 未承諾広告メールの禁止 | オプトイン取得・承諾ログ保存。 ノートラブル |
| B2B請求で登録番号なし | 仕入税額控除不可の恐れ | 請求書様式にT番号等を追加。運用教育。 国税庁 |
| 健康訴求で「治る・効く」記載 | 薬機法の誇大広告 | 根拠資料・表現見直し。グレーは削る。 厚生労働省 |
| 食品ECで必須表示の欠落 | 食品表示法の違反 | ネット販売ガイドの様式に沿って再点検。 行政機関の電子申請窓口 |
ローンチ前&運用のチェックリスト(保存版)
ローンチ前(法務・表示)
- 総額表示(税込)を主要表示に
- 二重価格の根拠(期間・数量・スクショ)
- 特商法ページの必須項目と返品特約
- 最終確認画面の6項目+(定期の場合)2回目以降・解約・総額
- プライバシーポリシー(取得目的・第三者提供・委託・越境)PPC
- カテゴリ法令(食品・薬機等)の要件反映 行政機関の電子申請窓口+1
- 適格請求書の記載項目・番号表示・発行運用 国税庁
月次運用
- セール/クーポン施策の表示レビュー(二重価格/実質価格)
- 定期購入の解約導線の実地テスト(スマホ)
- インボイスの発行率・誤記レス率
- 苦情/返品理由の上位3件→表示/FAQへ反映
- 法改正のウォッチ(消費者庁/国税庁/個人情報保護委の更新)
迷ったときの意思決定フレーズ
- 「消費者が判断に必要な情報を、注文直前に一目で確認できるか?」→NOなら直す。ノートラブル
- 「税込の最終支払額が、最初の画面からブレずに理解できるか?」→NOなら総額表示に寄せる。国税庁
- 「この比較価格に客観的根拠はあるか?」→曖昧なら比較をやめる。行政機関の電子申請窓口
- 「請求書は要件を満たすか?」→不明なら国税庁の要件表でセルフ監査。国税庁
まとめ:“売れる店”の共通点は、法令をUXに落とし込んでいること
- 総額表示・二重価格・最終確認画面・定期の解約導線は、販促ではなく“信頼のUX”。
- 適格請求書はB2Bの信用インフラ。発行運用まで含めて型化する。
- カテゴリ法令(食品・薬機)や個人情報は商品ジャンルで要件が違う。“一般論の逆引き”は危険。
- 他社がやっているは理由になりません。公式ガイドと一次情報で自店の正解を作るのがプロの運営です。行政機関の電子申請窓口+2国税庁+2
最後に(実務サポートのイメージ)
- 特商法・最終確認画面の監査(UIと文言を赤入れ)
- インボイス様式の点検(T番号・税率区分・簡易発行の運用)
- カテゴリ別ルールの棚卸し(食品・薬機・個人情報)
- 社内規程(二重価格/クレーム対応/解約SOP)のドラフト
必要なら、ひな形(特商法ページ/最終確認ブロック/請求書レイアウト)まで整えてお渡しします。まずは現状URLと請求書サンプルがあれば十分です。


